株式会社淡島ホテルの破産手続開始決定を受けて

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2019年12月23日

淡島ホテルを守る債権者の会世話人会

 1 破産手続開始を歓迎します

 2019年12月20日、静岡地方裁判所は株式会社淡島ホテル(以下、「破産会社」といいます)について、同ホテル債権者らの破産手続開始申立を受けて、同日午後5時付で、破産手続開始決定を行いました。

 私たち、淡島ホテルを守る債権者の会(以下「債権者の会」といいます)は、今年7月13日の発足以来、破産会社及びその関連会社(淡島マリンパーク、長田事業者、東京アソシエイツ、等)と同ホテルの経営権の譲渡を受けた株式会社オーロラ、グッドリゾート株式会社(以下「オーロラグループ」といいます)の債務不履行や不正行為による被害者の任意団体として、被害回復、経営陣の責任追求、新たな被害拡大防止、ホテルの正常化・再生、を目標に活動をしてきました。

 債権者の会は、裁判所の破産手続開始決定を、歓迎します。また、困難な破産手続開始申立を行われた申立債権者らとその代理人その他関係者のみなさんのご努力に心から感謝するものです。

 今後は、破産会社の経営権限は、オーロラグループからすべて破産管財人に移り、破産管財人の下で、会社の清算手続きが進められます。破産会社の関係者が、手続きに一切協力しないという状況の下で、破産管財人の業務は困難を極めるものと予想され、債権者の会は、真相究明と被害者の権利救済のため、破産管財人の業務に全面的な支援・協力を行う所存です。

 そこで、今後、進められる破産手続の中で債権者の会が、注目している問題点について述べたいと思います。

 2 不透明な資金の流れの解明

 まず、第一に、私たち債権者の会は、オーロラグループの傘下のもとで、2018年4月以降、営業で得た売上金、関連会社の会員権 販売収入、ホテル建物の所有権持分権の販売代金などの収入がどこに流れているのか、全く不透明な状況になっています。

 破産原因の究明とホテルから散逸した資金の回収は破産管財業務の中心的業務であり、債権者の会はその徹底究明を期待するものです。

 3 旧経営者長田浩行の責任追求

 第二に、今回の破産会社の経営破たんの原因は、旧経営者であり株主であった長田浩行氏に重大な責任があります。破産会社の株式が2018年3月にオーロラグループに譲渡される直前期には、長田氏が株式会社マリンパークの代表者があずかり知らないところで、会社では使用していない会社印を使用して、会員・債権者から多額の借入を繰り返しています。その借入金は、破産会社やその関連会社には入金もされていない、ということが明らかになっています。

 オーロラグループへの株式譲渡に際して、長田氏は、破産会社や関連会社の名義で多額の借財を起こし、これを私的に取得したとの疑いが濃厚です。

 債権者の会では、長田氏の民事・刑事の責任を今後追求する中で、破産管財人との協力の下、真相究明と被害回復に取り組みます。

 4 関連会社に対する債権者・被害者の救済

 今回、破産手続がなされるのは、破産会社1社であり、他の関連会社は手続の対象外です。しかし、債権者の被害は、破産会社だけではなく、広く関連会社にも及びます。

 例えば、破産会社の債権回収を目的として淡島マリンパークの株を購入した被害者、長泉ガーデンⅠからの立退きを求められた被害者、長泉ガーデンⅡの建築資金の名目で長田事業社に対して貸付をした被害者、東京アソシエイツを通じて破産会社の会員権を購入したり貸付をした被害者、など様々な被害態様が存在しています。

 破産会社の破産手続の中でこれら関連会社との間の資金の流れも解明し、関連会社からの被害についても全容を把握した上で、その救済に取り組みます。

 5 オーロラグループの責任追求

 債権者の会は、破産会社のブランドを最大限に利用して、実態のない破産会社建物の持分所有権販売、淡島マリンパークの株式販売、工事すら着工していない日光宮殿、箱根宮殿の会員権販売等で多額の資金を荒稼ぎしたオーロラグループの責任は重大であると考えています。

 本来破産会社が取得すべき売上金が、オーロラグループに流れている可能性が高く、破産手続を通じてこれらの流出資金の回収がなされるものと予測しています。

 同時に債権者の会では、オーロラグループの下で拡大した被害については、破産手続とは別個の被害としてその責任追及を行います。

 6 今後の見通し

 債権者の会は、破産会社とその関連会社、オーロラグループに対して債権を有する被害者の集まりであり、公正・平等な清算手続きを行う裁判所・破産管財人とは立場を異にしますが、真相の究明と経営者の責任追及、ホテルの再生と債権者の救済という点では、その利害を共通するところが多々あります。

 したがって、可能な限り、裁判所・破産管財人の業務に協力しながら、今後も活動を継続していきます。

 本件が破産手続であり、数百億円の負債が予想される以上、配当手続を通じての被害回復は極めて困難な状況にあると理解しています。

 しかしながら、ホテル建物を中心として新たな経営者の下でのホテルの再建を通じて、債権者の利益を実現していくことは可能であると考えております。

 今後とも、私たち債権者の会は、会員のみなさまの最善の利益のために活動を行っていきます。

以上


 なお、株式会社淡島ホテルは、令和元年12月10日付で、会社名を株式会社AWHに商号変更の上

本店所在地を変更しています。(履歴事項全部証明書)

 これが、株主であるオーロラグループの破産手続妨害行為を意図しているのであれば、悪質な行為と言わざるを得ません。

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